Part.50 「足元が寒い家」について考える。
「冬になると足元だけヒヤッとする…」
「エアコンをつけても床が冷たい…」
そんな悩みは、断熱方法の選び方が大きく関係しています。
特に“床断熱”と“基礎断熱”は、見えない部分ですが住み心地に直結する重要なポイントです。
ということで今回は「足元が寒い家」について考えます。
■なぜ「足元の冷え」は起こるのか?
● 理由① 地面からの冷気が家に伝わる
家は地面の上に建っています。冬の地面は非常に冷え込むため、この冷気が床下空間や基礎を通して室内に伝わってしまうことがあります。
● 理由② 隙間風が床下から入り込む
断熱材が入っていても、
・施工の隙間
・床下の通気設計
などによって冷たい外気が床下に入り、床表面を冷たくしてしまうことがあります。
● 理由③ 暖かい空気は上にたまる
暖かい空気は天井側へ、冷たい空気は床側に溜まりやすいため、足元だけが冷える現象が起こりやすいのです。
■床断熱と基礎断熱の違い
● ① 床断熱(ゆかだんねつ)
床材のすぐ下に断熱材を敷く工法。
日本の住宅で広く採用されている一般的な断熱方法です。
<特徴>
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床下は外気とほぼ同じ温度になる
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床の断熱材が冷気の侵入を防ぐ
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コストは比較的リーズナブル
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床下点検も容易
<メリット>
・価格を抑えられる
・シロアリ対策がシンプル
・湿気や結露のリスク管理がしやすい
<デメリット>
・床下が冷えやすく、断熱性能の差が足元の冷たさに直結
・断熱材の隙間施工があると効果が大幅に低下
● ② 基礎断熱(きそだんねつ)
床ではなく“基礎の外周部”や“基礎内側”を断熱する方法。
基礎そのものを断熱のラインにするため、
床下空間も室内と同じ温度帯に近づきます。
<特徴>
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床下が外気に触れない
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室内と近い温度になるため足元が冷えにくい
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気密と組み合わせるとさらに効果が高い
<メリット>
・床表面の温度が安定し、足元が冷えにくい
・家全体の断熱性能を底上げ
・地熱の影響を受けにくい
<デメリット>
・初期コストがやや高い
・気密性能とシロアリ対策が必須
・施工の精度が求められる
■足元が冷えやすいのはどっち?
結論を先に言うと――
足元が冷えやすいのは「床断熱」。
足元が冷えにくいのは「基礎断熱」。
もちろん、
・断熱材のグレード
・施工の精度
・気密性能
によって結果は大きく変わりますが、工法の特性としてはこのようになります。
■どちらを選べばいい?判断ポイント
● ① 高気密・高断熱を本気で目指すなら → 基礎断熱
ZEHレベル以上を目指す家や、冬の寒さが厳しい地域では基礎断熱の方が向いています。
床下も室内に近い温度に保てるため、快適性が高くなります。
● ② コストを抑えつつ一般的な性能で十分 → 床断熱
コストバランスや施工管理の容易さを考えると、床断熱はスタンダードで安心できる選択です。
● ③ シロアリ被害が気になる地域 → 床断熱が安心
基礎断熱はシロアリ対策を強化すれば安全に使えますが、地域性で判断されるケースもあります。
■プロ視点でのおすすめは?
最も重要なのは工法そのものよりも
「気密=施工精度」です。
どちらを選んでも、
・断熱材の隙間がない
・気密ラインが正しく取れている
・結露対策がされている
という基本が守られていなければ、足元の冷えは改善されません。
家づくりでは見えない部分ほど後悔につながりやすいもの。
断熱はその代表です。
「冬でも足元が冷たくない家」を目指すためにも、
あなたの地域・暮らし方に合った断熱方法を選びましょう。
ということで今回は、
「足元が寒い家」について考えてみました。
ぜひ参考にしてみてください!
次回もお楽しみに!

